赤外線ドローン点検で建物を守る:定期点検の義務と最適な周期
2025.9.17
法律で定められた点検周期
日本の建築基準法第12条では、特定建築物等に対し「定期調査報告制度(12条点検)」が定められています。
- 建築物の構造・敷地等:3年以内ごとに点検・報告
- 建築設備・防火設備・昇降機等:1年以内ごとに点検・報告
- 初回点検:建物完成後、構造等は6年以内、設備等は2年以内
また、外壁タイル等については以下の基準があります。
- 手の届く範囲の打診等調査:6か月~3年ごと
- 全面打診等(外壁全面の調査):おおむね10年ごと
なお、2022年4月の法改正により、ドローン赤外線調査は「打診と同等以上の精度を有するもの」として正式に認められました。
ドローン赤外線点検を活用した実務的な最適周期
法令で定められた周期を守ることが前提ですが、事故防止や維持管理コストを考慮すると、次のようなサイクルが望ましいと考えられます。
- 年1回:簡易点検(目視やドローンによる可視カメラ確認)
- 3~5年ごと:赤外線ドローン調査による外壁劣化チェック
- 10年ごと:全面的な打診調査または全面赤外線調査
- 改修後1~2年以内:施工部分の確認点検
これにより、法定義務を守りながらも、早期の不具合発見と修繕計画の最適化が可能となります。
まとめ
建築基準法により、建物は構造等は3年ごと、設備は1年ごと、外壁全面調査は10年ごとに点検が義務づけられています。
ドローン赤外線点検は2022年以降、法的に認められた正規の調査方法です。
実務的には年1回の簡易チェック+数年ごとの赤外線調査を組み合わせることで、安全性とコストのバランスをとることができます。
建物の安全を守るためには、法律で定められた「最低限」だけでなく、先進技術を取り入れた「最適な周期」での点検が重要です。